皆さんこんにちは!
中国在住21年!ワーママライターもりむらきよかです。
今日は中国の教育について。
実は今、中国の教育は急激に「ゆとり教育」へ舵を切り始めています。
「詰め込み教育」で有名だった中国の教育現場で一体何が?!
その実態や現場の生の声をお届けします。
青天の霹靂!突然発表された「ゆとり教育」に関するの政府通知
2021年7月下旬、政府から突然発表されたある通知が、教育現場から父母たちのグループチャットまで、あらゆる人々をざわつかせました。
という長いタイトルの通知、簡単に言うと「学生の学校の宿題及び塾などの負担を減らすための意見書」という感じ。
中国は孟母三遷の例にもあるように、昔から非常に教育熱心な国です。
そこに、「急激な経済成長」と「一人っ子政策」という政治・経済要素が加わり、
「幸せ=お金持ちになること=いい大学に入っていい会社に入ること」という価値観が固定化。
親の教育熱と競争の激化を煽り続けてきました。
どんなに家計が苦しくても、子供の教育費だけは出し惜しみしないという親がほとんどで、実際私の周りでも、公立校より学費が10倍もする私立校に入れたいと希望する親が多くいます。
また塾や習い事に全くいっていない、という子供は皆無といっていい状態です。
そのため、一人の子供にかかる教育費の負担は親の方に重くのしかかり、一人っ子政策が撤回されても二人目を生む余裕がない家庭がほとんどでした。
そこに投下されたのが件の通知。
内容はというと、
「宿題負担を軽減」
1.保護者による宿題の指導やチェック作業を禁止する。
2.小学校第1~2学年に宿題を出すことを禁止。宿題の量は第3〜6学年は平均1時間以内、中学生は90分以内。
3.就寝時間を厳守。学校と保護者は、宿題の完成を促す。また、家事やスポーツ、読書などを奨励する。
4.一般企業の法定退勤時間まで放課時間を延長。放課までは教師による宿題や問題の解説などの学習指導を行う。
5.国が優秀な教師を起用し、全国範囲の無料オンライン学習を正式に開始する。「学外教育負担の軽減」
1.全国公立校の在職の教師は校外で有償での学習指導を厳禁する。見つかった場合は、教師の資格を剥奪する。
2.小中学生対象の学習塾の新規開設を認めない。既存の塾は非営利団体として登記し直す。その上、営利目的の活動を行ってはいけない。学習塾は株式市場で資金調達して学習塾事業に投じることを禁じる。投資会社も株や現金などで投資してはいけない。
3.週末や祝日、夏、冬休みに塾の学習を行ってはいけない。就学前の児童を対象にする学習類(英語も含む)の塾を厳禁する。
特に世間を騒がせたのが「学外負担軽減」の2と3。
民間の学習塾などは、事実上これ以上の拡大が不可能になるどころか、週末や夏休みなど長期休暇に開校できないことになります。
教育業界にとっては大打撃、どころではない、死活問題。
我々子供を持つ親にとっても週末は塾通い、長い休みはサマースクールやウィンタースクールというライフスタイルを一変せざるを得ず、かなりの衝撃度です。
大胆な教育改革。現場との温度差も・・
今回の通知の背景には、急激に進む少子高齢化に歯止めをかけるため、出生率を上げたい政府の思惑もあるといわれています。
そのため今までの教育に関する通達と比べて本気度が違う!
かなり踏み込んだ大胆な改革となっています。
その分、実際の教育現場に落とし込んでいくのはかなりの力技が必要になるでしょう・・。
大学受験制度が変わらなければ、最終ゴールへ向かう道筋は一緒んなので、「負担を減らして学力は維持」というかなり難しいかじ取りが要求されています。
「宿題の量は第3〜6学年は平均1時間以内、中学生は90分以内」と謳っても、現状のカリキュラムと学力を維持するため、結局学校にいる時間が長くなるだけではないかという気もします。。
学習塾も私立校も廃止?!わが家への影響も必至・・!
でもさすがは中国。やるといったらやります。
早速、学習塾などの「週末長期休暇は開校不可」という通達に対して、続々と動きが出てきました。
共働きがほとんどの中国では、平日に子供の塾の送り迎えなどができないので、土日に詰め込む傾向があります。我が家もしかり・・。
なので、息子が通っている公文教室が週末休校になったら困るなぁ・・と思っていたら・・
やっぱりきました、公文の先生からの通知。
9月からは月木金の週3回のみ開校するとのことでした。。。
こまったなー・・どうしたものか・・。
4歳からずっと頑張ってきたけど、そろそろ辞め時なのかなぁ・・
公文に関する過去記事はこちら↓
フィンランドに続け?!教育改革は成功するか??
宿題や学習塾の制限に続いて、さらに踏み込んだ政策も実施されつつあります。
私立学校を公立学校に移行するという大胆な取り組みもその一つ。
今の段階では、「名門公立校の名を借りた私立学校」(中国にはこういう学校がたくさんあったりします・・)が標的になっているようですが・・。
中国の強力な実行力を考えれば、近い将来「義務教育はすべて公立校」という状況がやってくるかもしれません。
決まったことはものすごいスピードでぐいぐいと実行していく。
このコロナ禍でまざまざと見せつけられた中国の剛腕ぶりですが、この教育改革に関しては、私はひそかに期待している部分もあります。
というのも、以前フィンランドの教育改革に関する番組をみて、とても心揺さぶられたから。
フィンランドでは1968年から教育大改革が行われたのですが、それが
持てる資源のほとんどを教育に投資する」「男女、家族の背景、財力は関係なく、万人に教育の機会を与える」
という本気度で、先進国の中で最低レベルだった学力を一気に上位まで押し上げたという素晴らしい改革なのです。
しかも、学力の改善だけでなく、子供たちが本当にのびのびと自由に子供時代を楽しんでいる様子がとても印象的で、自分の子供にはこんな子供時代を過ごしてほしい!でも、競争社会の中国で学生である限り、この仕組みから抜け出すのは難しい・・ととてもジレンマを感じたのでした。
そのフィンランド教育改革の大きな柱が
・宿題軽減
・私立学校廃止
・授業時間短縮
などで、今回の中国の教育改革ととても近いんですよね。
子供時代のほとんどを勉強に費やさざるを得ない現在の中国の子供たち。
もしかしたら今回の教育改革は、そんな子供たち、そしてその親にとって、大きな幸せをもたらすかもしれない・・?
なんて淡い期待を抱いているのでした。
まあ、「上に政策あれば下に対策あり」の国ですからね(;^ω^)
一筋縄にはいかないでしょうが・・・今回は中国の本気度に期待したいところです!