上海生まれ上海育ちの我が息子さん。
公立のインター校に通っており、普段日本語を使うのは私との会話くらいしかありません。
学習言語は英語だし、中国で育っているので中国語はネイティブだし、
日本語についてはそこまで力を入れる必要はないと考えていますが、そうはいってもやはり「日本人です」と名乗れるくらいには習得してほしい。
そう思って1年生の時から「日本語補習校」に通わせています。
日本語補習校では、日本人学校以外の現地校・インターに通う日本人の子供が、週一回日本の教科書を使った国語の授業を受けています。
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大きなかぶ、スイミー、ごんぎつねなど、私も子供のころに倣った題材もまだ多く残っていて、懐かしい気持ちで授業を見学することも多いのですが、
先日はちょっと面白いことがありました。
うちの子は小学校5年生なのですが、5年の教科書に漢文の単元があったのです。
私のころは小学校で漢文なんてあったかしら・・。
高校でレ点とか一二点とか習った覚えはあるのだけど。
当時私は、「中国語、しかも古文を無理やり読み下し文にして読むな
んて何の意味があるんだ!!」と非常に疑問に思っていたのですが、数年後中国にわたるのですから人生何があるかわからないものですw
まあ、漢文の授業は中国語習得に全く役立たなかったけど(笑)
でもうちの子は中国語ネイティブ。
普通に中国語で読めるものをわざわざ読み下し文にする意味はあるのだろうか・・
一体どんな授業になったかというと・・・
5年生のクラスには10人の生徒が在籍していますが、
うちのように片親が中国人の家庭だったり、現地校に通っていたりして、全員中国語はほぼネイティブレベル。
教科書に出てくる「春暁」なんて、1年生で暗記させられる超初級レベルの古文です。
春眠不觉晓「ちゅんみえんぶーじぁおしゃお~!」
と覚えてきたものが
「春眠暁を覚えず」
なんて、耳慣れない日本語になっているものだからみんなおかしくて仕方ありません。
先生の後に続いて読むたびにクスクスわらいがおきて、最後にはみんなで大笑い(笑)
先生もあきらめて、逆に生徒たちに中国語の読み方を教わるというなんともおかしな授業になったのでした。
日本語ネイティブに日本語をわざわざローマ字に直して語順を入れ替えて読ませる、みたいなものだもん、そりゃそうなるわな(笑)
でも、「日本の子供たちも漢文を学ぶ機会がある」ということが分かったのは子供たちにとってもよい体験だったとおもいます。
それから数日たったある日のこと。
学校の中国語の宿題をしていた息子から「ママ~、ちんしゃおなーゆえんって有名??」と突然聞かれ「ママは知らないよー」と答えると、「でも日本人の有名な人だって先生が言ってたよ」と。
何のことかわからず、息子が差し出した教科書を見てみると、「作者清少納言」の文字が。
ああ~!「清少納言=ちんしゃおなーゆえん」ね~~!知ってる知ってる、超有名。
っていうか、なんで中国語の教科書に清少納言が?!
しかも息子が使っているのはローカルの中国人生徒が使っているのと同じ教科書。
つまり、「中国語」というより中国の「国語」の教科書なわけです。
その教科書に、清少納言のあの有名な「春はあけぼの~」が中国語に訳されて掲載されているではないですか!
「春天最美的是黎明(ちゅんてぃえんずいめいだしりーみん)」=春で一番美しいのは明け方です、から始まり、四季折々の美しさをたたえる文章が続きます。
まさか中国のローカル小学校で「枕草子」を勉強していたとは!!!!
特に歴史認識に関しては、日本についてネガティブな側面が強調されることが多い中国の教育現場。
でも「良いものは良い」として日本人の文章、それも1000年も昔の才女が書いた古典を評価し、教科書に採用しているというのは、日本人としても、日中ハーフの子を持つ親としてもとてもうれしく、明るい気持ちになったエピソードでした。
そしてうちの息子にとっては、日本の古文を中国語で、中国の古文をを日本語で勉強するというなんとも不思議な体験になったのでした(笑)