皆さんこんにちは!
上海在住20年、マルチリンガルな息子の子育てに奔走するワーママライターのもりむらきよかです。
さて、2020年から、日本の小学校で英語教育が必修となることをみなさんご存知でしたか?
英語教育開始時期の低年齢化が進んでいるようです。
以前読んだ本に書いてあったのですが、
子供のころ習得した言語は脳の中に言語ごとの言葉の部屋、例えば「英語の部屋」「日本語の部屋」を作ることができ、その中で文法を蓄積したり、思考したりすることができるそうです。
一方、ある一定の年齢を過ぎてから母国語以外の語学を学ぼうとすると、
脳の中に唯一ある母語の部屋の中で、新たに習得した言語の語彙や文法を蓄積や思考を行わなければならないそうです。
そりゃ上達のスピードが違うはずですよね・・。
ただ、早ければ早いほうが良い、というほど言語教育は単純なものではなさそうです・・。
今日は、マルチリンガル教育の可能性と難しさについてお届けします。
日本語・英語・中国語 息子のマルチリンガル度チェック
我が家の9歳になる息子は、中国人の父親と日本人の母親(私)を持ついわゆる日中ハーフ(ダブル)で、日中英のマルチリンガルです。
日本語・中国(普通話・上海話)は日常生活を通して自然と習得していきました。
また、現在現地のインタースクールに通っており、授業は中国語を除いてすべて英語で受けています。
こんな恵まれた(複雑な?)言語環境において、現時点で彼の言語レベルがどうなっているかチェックしてみました。
■使用頻度割合・・日:中:英=2:4:4
普段日本語を話す相手は私ぐらいしかおらず、学校では英語がメイン、家では中国語(上海語)がメインとなるため、
どうしても日本語の使用頻度はほかの言語に比べ落ちてしまいます。
■それぞれの言語をどんな時に使用する?
・日本語:母親との会話、日本のテレビを見る(ドラえもんラブ)、週末に日本人のお友達と遊ぶ、など
・中国語:普通話⇒中国語の授業、学校のお友達(中国語ネイティブ)との会話/上海話⇒父祖父母親戚との会話
・英語:学校の授業、先生との会話、お友達(中国語非ネイティブ)との会話、宿題、英語のテレビ番組、映画、コミックス(David Pilkeyの大ファン)など
■同年代のネイティブスピーカーと比べてどのくらいのレベル?
・日本語:読み・書きやや劣る、会話はリスニングは同等、話すのはちょっと劣る?
・中国語:読み書きはやや劣る、会話は同等
・英語 :読み書きは同等(Mapテスト*1の結果より)、会話はやや劣る
やはり、学校で使用している言語が英語のため、読み書きは圧倒的に英語が楽なようです。
英語の作文の宿題は、割とすらすらと、時には止まらない勢いで書いてしまいますが、
中国語や日本語の作文はため息ばかり量産され、遅々として進みません・・。
また自分から積極的に読む本は9割は英語。
日本語の本も図鑑や漫画など絵が多めだとまだ読みますが、文字だけの本はなかなか触手が動かない模様・・。
中国語の本に至っては、学校の課題でもない限りほぼ読みません・・。
逆に会話になると、学校のお友達や父親・祖父母、地域の人など日常で接する人のほとんどが中国語のネイティブスピーカーなので、
一番すらすらよどみなく出てくるのは中国語、特に上海語かもしれません。
日本語は、リソースが私との会話やテレビ・読み聞かせの本くらいなので、語彙やフレーズが増えるスピードはどうしてもゆっくりになってしまいますね。
息子にとって「日本人小学生のモデル」がドラえもんの登場人物なので(笑)
なんとなくしゃべり方がのび太ちっくです^^;
マルチリンガルにとっての【学習言語】と【生活言語】
いわゆるバイリンガル・マルチリンガル教育と一口に言っても、どの程度のレベルを目指すのかによってゴールも変わってきます。
ポイントとなるのは学習言語と生活言語という考え方です。
生活言語とは、その名の通り日常生活の中で使う言語。
日常会話や娯楽目的のメディアの視聴、簡単な手紙や日記を書くなど、普通に日常生活を送るのに支障がないレベルの語学力があれば「生活言語」を取得できているといえます。
一方学習言語とは、思考力や学習力の土台となり、自我形成にもかかわる言語です。
授業や教科書で使われている単語や言い回しは、日常生活の中であまり触れることがないものもたくさんありますよね。
ですから、日常生活の中で自然に習得できる生活言語と違って、学習言語は意図的に習得していかなければならないのです。
息子の場合は、小学校をインター校に決めた時点で英語を学習言語として確立できるよう、環境を整えてきました。
一方で、中国語と日本語についても、自身の国籍を名乗って恥ずかしくない程度のレベルは習得してほしいと考えています。
どれも中途半端に終わってしまったり、本人の負担が大きくなりすぎてしまったりするリスクもあります。
そうならないよう、親としてベストな環境を与えるべく、試行錯誤の日々です^^;
マルチリンガルの育てかた~我が家の場合~
最後に、日中英語能力のレベルアップのために息子が取り組んできたことをご紹介したいと思います。
赤ちゃんの時から、話しかけは1人1言語に固定!
一人の人間があるときは英語、ある時は日本語、というように多言語で話しかけると、
前述した「言語の部屋」の形成がうまくいかず、境界があやふやでちゃんぽんになってしまうらしい・・
ということで、我が家では子供に話しかけるのはそれぞれの母国語に限定しました。
私も主人もお互いの母国語を話すことはできるので、例えば子供と主人が何をしゃべっているのか、私も理解することは可能です。
そこで口をはさむ場合でも、私は徹底して日本語。
主人の逆バージョンもまたしかり。
なので、我が家は3人での会話がなかなか面白いことになります^^:
上海語の会話に私が日本語で突っ込んだり、
私と日本語で話していた息子が突然上海語で父に話を振ったり。
バイリンガル・マルチリンガルの子供は、会話の途中で話しやすい別の言語に変えてしまったり、
話しかけられた言語と別の言語で答えたり、ということが起こりやすいのですが、
「1人1言語」の徹底が良かったのか、息子の場合はいまのところこのような問題は起こっていません。
毎晩の読み聞かせ
言葉を理解する前からできるだけたくさん読み聞かせをしてあげるよう心がけていましたが、1歳ぐらいからは毎晩寝る前の読み聞かせが習慣化しました。
ここでも読んであげる本は自分の母国語限定。
ぐりとぐら、カラスのパン屋さん、ゾウのばばーる、百万回生きたねこ・・・たくさんの素晴らしい本をたくさん読んで聞かせました。
何十回と繰り返し読んだお気に入りの本もたくさんあります。
読むときには女優になったつもりで、大げさに感情をこめて読むのがコツ^^;
息子は笑ったり怒ったり怖がったり、いつも素晴らしいリアクションを返してくれるので、読み甲斐があります(笑)
9歳になる今でも読み聞かせは続けていて、今は「ハリーポッターシリーズ」に夢中!
読んでいる私も続きが気になって、ついつい遅くまで読んでしまいます^^
寝かしつけと読み聞かせはほとんど私がやっていますが、たまに私がいない夜などは、主人が中国語の本を読んであげているようです。
十万个为什么,三国志 なんかがお気に入りらしいです。
英語の読み聞かせは今はしていませんが、英語の朗読音声がついているアプリを使ってアイパッドで読ませていた時期もあります。
ちょうどインターの入試時期で英語力をアップするためにやっていたのですが、
息子はとても気に入って、お話すべて暗記してしまったほどです。
楽しく英語を学べるツールとしてとてもおすすめです!
「生きた言語」に触れる機会をできるだけたくさんつくる
中国上海で生活している息子にとって、日本語や英語と触れる機会やそのバリエーションは、中国ごのそれと比べてどうしても限りがあります。
その中でのみ語学を習得していくと、語彙の蓄積や言葉のチョイスに偏りが出てきてしまうのです。
例えば日本語だと、会話の相手が私しかいなかった場合、
使う単語は家庭のことに偏ってしまいますし、話し方もきっと女の子(おばさん?(笑))ぽくなってしまうでしょう。
なので、出来るだけたくさんの環境でたくさんの「生きた言語」に触れる機会を作ってあげたいと思っています。
日本語に関しては、毎週末「日本語補習校」に通っています。
に1回2時間だけですが、日本語の教科書をつかって日本人の先生に国語を教えてもらうことで、日常生活では使わない「学習言語」としての日本語に触れることができています。
また、日本人の同年代のお友達と「子供同士の会話」ができる貴重な時間でもあります。
今年の夏休みには、日本に帰国し、地元の小学校で体験入学という素晴らしい経験をさせてもらうこともできました。
3週間の日本の学校生活の間に、息子の日本語の語彙や表現力はかなり伸びた気がします!
英語に関しても、出来るだけ現地で生の英語に触れさせてあげたいと思っています。
今年の夏は3週間のイギリスボーディング(寮)スクールに挑戦しました。
3週間ずっと英語のみの生活。授業や寮生活、旅行と様々なシチュエーションを英語で体験することができて、 英語力は確実にUPしました。
また読む聞く話す、だけではなく、英語で考える力も伸びたようです。
今までは、英語のテレビ番組はアニメやコメディしか見なかったのですが、最近はドキュメント物を好んで見ているようです^^
お気に入りはUFOなど未確認物体を追う科学系?の番組。
難しい単語もたくさんでくるし、展開を理解したり推理したりしながら見るのは大変だと思うのですが
イギリスでたくさんアカデミックな英語のシャワーを浴びたおかげか、高い難易度にひるむことなく、楽しんでみています。
以上、今日は我が家の例を挙げながらマルチリンガル教育の難しさと可能性についてお伝えしました。
それではまた!
*1:Measures of Academic Progressテスト。アメリカで広く実施されている学力テスト