こんにちは!
上海在住20年、仕事とマルチリンガル子育ての両立に奔走するもりむらきよかと申します。
私は去年、駐在員として働いていた日本の会社を辞めました。
その会社は企業型の確定拠出年金に加入してくれていたのですが、
退職により資格を失ったため、個人型=iDeCoへ移換することにしました。
今日は、個人型への移換を決めた理由やその手続きについて書きたいと思います。
また、その結果わかった「海外居住者はつらいよ・・」な事実も・・。
- 確定拠出年金移換手続き ステップ1【加入者資格喪失通知】
- 確定拠出年金移換手続き ステップ2 そもそも【確定拠出年金】とは?
- 確定拠出年金移換手続き ステップ3 企業型確定年金資格喪失後の選択肢は4つ
- 確定拠出年金移換手続き ステップ4 企業型確定拠出年金からの転換手続き流れ
- 確定拠出年金移換手続き ステップ5 なぜ?!「加入者資格不該当通知」が届く
- 「非居住者」に厳しい日本の法律
- 【まとめ】
確定拠出年金移換手続き ステップ1【加入者資格喪失通知】
駐在員として働いていた会社を退職して1か月ほどたったころ、
「企業型確定拠出年金の資格喪失通知」が実家に届きました。
前職の人事からなんとなくは聞いていたものの、実際通知を受け取って読んでもちんぷんかんぷん・・。
そもそも前職入社時、会社から言われるままに手続きしただけの「確定拠出年金」というものをいまいち理解しておらず、これから具体的に何をすればよいのかわりませんでした。
とりあえずその通知からわかったことは
① 6か月以内に手続きをしないと「自動移換」されてしまうらしい
②「個人型確定拠出年金」というのに移換できるらしい
という2点。
あまり時間がないことが分かったので、慌てて確定拠出年金について勉強を始めました。
確定拠出年金移換手続き ステップ2 そもそも【確定拠出年金】とは?
ざっくりいうと、
- 「公的年金」(国民年金・厚生年金)に上乗せして老後資金をより強化するための「私的年金」の一種。
- 拠出金を企業が負担する「企業型」と個人が負担する「個人型」がある。
- 60歳まで引き出すことができない
- 所得控除や免税・減税などの優遇制度がある
という感じです。ざっくりしすぎですね(笑)
もっと詳しくお知りになりたい方は↓ご参照ください。
りそなのページがわかりやすかったので貼っておきます。
www.resona-tb.co.jp私は前職で「企業型」に加入していましたが、退職によってその資格を失ったので、何らかの手続きが必要でした。
確定拠出年金移換手続き ステップ3 企業型確定年金資格喪失後の選択肢は4つ
企業型確定年金の資格を失った後に考えられる選択肢は4つあるようです。
- 再就職後その会社の企業型確定拠出年金へ再加入
- 脱退
- 6か月以上放置⇒自動転換
- 個人型確定拠出年金=iDecoへの加入
私の場合、
- 企業型の制度がある会社へ再就職していないので不可
- 脱退の条件(加入期間が3年以下、資産が25万円以下など)に当てはまらないので不可
- 自動転換になると資産が運用されないので全く増えないどころか、管理手数料が毎月かかるので減る一方なので却下
残るはiDeCoへの移換という選択肢のみ。
iDeCo加入のメリットの一つに「節税」がありますが、そもそも日本に住民票がなく
所得税・住民税を払っていない私にとっては関係ありません。
というわけで、そんなに大きなメリットはなさそうだけど、消去法でiDecoへの加入を決めました。
確定拠出年金移換手続き ステップ4 企業型確定拠出年金からの転換手続き流れ
具体的な転換手続きは以下のような流れでした。
1.国民年金への加入
iDecoの加入条件の一つは「公的年金に加入していること」です。
iDecoはあくまで公的年金を補助する制度であって、公的年金に入っていないのにiDeCoにだけ加入するというのは本末転倒、ということなのでしょう。
私は前職時代は厚生年金に加入していましたが、退職によってその資格を喪失しました。
通常はそこで国民年金への切り替えの義務がありますが、私の場合海外在住で住民票も海外転出しているため、任意での加入となります。
海外在住者の国民年金加入是非についてはいろいろと議論のあるところですが、
私はiDecoの件がある前から加入しようと決めていました。
試算すると70歳以上生きるのであれば、掛け金よりも多く需給できることと、
障害年金や遺族年金など、私に万一のことがあっても少しは家族にとって保障になるからです。
ということで、まずは一時帰国の際、厚生年金から国民年金への切り替えを行いました。
2.運用管理機関(受付金融機関)を決める
都市銀行、地方銀行、信用金庫、保険会社など、様々な金融機関がiDeCoを取り扱っています。
各金融機関の手数料や取扱商品などを比較するサイトがたくさんあります。
私なりにいろいろと研究した結果、手数料の安さと投資信託プランの豊富さが決め手となりSBI証券を選びました。
3.資料請求・申し込み
SBI証券のサイトから資料請求をしました。その時点で
・掛け金を拠出するか
・運用指図者として現在ある資産の運用だけを行うか
を決める必要があります。届く資料に違いがあるようです。
私は掛け金を拠出する方を選びました。
iDeco加入を決めたのはほかの選択肢がなかった、という消極的な理由でしたが、
掛け金を拠出し運用できる、という部分は唯一といっていいくらいの私がiDeCoに期待する部分でした。
(これについては後述します。)
ネットでの資料請求から1週間ほどで資料が届き、必要書類を記入し郵送で提出しました。
確定拠出年金移換手続き ステップ5 なぜ?!「加入者資格不該当通知」が届く
必要書類を提出して1か月ほどたったころ、SBI証券から
「iDeCo指定運用方法に関するご案内」
が届きました。
どのプランにどのくらい投資するかは、すべてWEBサイト上で指示することになっているようです。
そのWEBサイト用のIDやパスワードが記載されていました。
指示通りにWEBサイトにログインしてみると、すでに企業型から資産が移換されていました。
しかし掛け金の拠出は行われていません。
問い合わせてみると、年金基金の承認処理に時間がかかるのだそう。
それで、とりあえずは移換部分についてのみ運用指図を行いました。
しかし数日後、実家に「加入者資格不該当通知」が届いたのです。
SBIからは運用指図WEB用のID/PWも連絡が来ており、実際口座には企業型から移換された資金が入ってきているのに・・なぜ?!
問い合わせ先である国民年金基金連合会に連絡をしてみると・・
「お客様は任意で国民年金していらっしゃいますよね?その場合iDeCoでは掛け金拠出ができないのです」
え??なんで???
iDeCo加入の条件が国民年金への加入だったから、私は加入義務がないにもかかわらずあえて任意で加入したわけです。( iDeCoのためだけじゃないけど)
なのに、任意ではだめって??どういうこと??
先方の説明をまとめると、
「iDeCoに掛け金を拠出するには居住者である必要があり、海外在住者=非居住者には拠出の資格がない。でも運用指図者としてすでにある資金を運用することはできる」
要は、iDeCoはもともと日本に住んでいる人を対象にした制度だけれども、
今回の私のように企業型からの移換だったり、居住者であったときにiDeCoで拠出をしてきた「既に存在する」資産については、
非居住者=海外在住者であっても運用のみ可能、ということらしいです。
決まりは決まりで仕方ありませんが・・・がっかり・・T0T
「非居住者」に厳しい日本の法律
前述のとおり、私はiDeCoで掛け金を拠出して投資できる、という点に大きく期待していました。
というのも、私たち海外在住者は(住民票を海外転出している場合)、日本に証券口座を持つことができません。NISAにも加入できません。
「老後に2000万円必要」なんて政府が投資をあおってくるこのご時世に、
日本の資産を株や国債に投資して増やす、ということが基本出来ないのです。
※厚生年金を払っている前提で、企業型確定拠出年金であれば非居住者も加入可能
iDeCoだけが唯一の抜け道だと思っていたのですが、これも駄目でした・・。
まあ、企業型から移換したわずかな資金は運用を続けることができますが、どんなにうまく運用できるとしたって、老後までに貯められる資金はたかが知れているでしょう。
海外在住の日本人が様々な制限を受けているのは資産運用だけではありません。
新たな銀行口座も原則作ることができません。
国民健康保険に入ることもできません。
マイナンバーがもらえません。
なのにマイナンバーがないと日本の銀行から海外に送金することができません。
ついでに中国では銀行の口座を作ることも原則できません。
(過去記事参照↓)
もちろん、税金を払っていないのだから、いろいろな手当てとか、福祉の恩恵が受けられないのは当たり前だと思っています。
でも、iDeCoは拠出金も手数料も自己負担ですし,そもそも拠出金は多ければ多いほどうまく運用できるのだから、拒む理由はないと思うのですが・・・。
国民年金とも紐づけられているので悪用される可能性も低いし。
一方でグローバルな人材育成の重要性を説きながら、一方で海外に出て行った日本人に「非居住者」として大きな制限をかける。
矛盾を感じてしまうなぁ~~~。
これでは海外に出ていく若者が減る一方なわけだよなー、と考えさせられた出来事でした。
↓退職に当たって、今まで会社任せにしてきた確定拠出年金を自分でどうにかしないといけない!!!とわかり、本当に知識ゼロの時に読んでものすごくわかりやすかったおすすめの本です。
投資のとの字もわからなかった私でも、お金を増やす方法についてぼんやりと輪郭がつかめるようになりました!
【まとめ】
①確定拠出年金には税金免除など様々なメリットがある
②iDecoは確定拠出年金の個人バージョン
③海外居住者は企業型の海外拠出年金にしか加入できない
④海外在住でも企業型から個人型(iDeco)に移換できるが、運用のみで投資額を増やすことはできない
⑤海外居住者はマイナンバーが取得できず、在住国での銀行口座開設にも支障をきたす場合も
⑥日本は海外在住者にキビシー国・・・かもしれない(;^ω^)